江戸しぐさに学ぶ
以前から興味のあった「江戸しぐさ」を、NPO法人江戸しぐさ理事長の越川禮子先生が直々に教えて下さるとのことで、早速参加してきました。
日本マナー・プロトコール協会主催のスクーリング講座のひとつです。
「江戸しぐさ」は江戸町方のトップ達の感性で、他の地域や他人とのつきあいをする、いわば人とのつきあい方を教える江戸のコミュニケーション法です。
全国様々なところから集まってきた人々が100万人も生活していたと言われる江戸の町で、お互いに心地よく過ごせるように考えられていたんですね。
現代でも経営者やリーダーだけでなく、ひとりの大人として生きていく上で必要な考え方です。

江戸しぐさは元々口承文化であり、文献がありませんでした。
越川禮子先生が江戸しぐさを研究していた故 芝三光氏に師事し、20年ほど前に初めて本にまとめました。
電車の公共広告で「傘かしげ」や「こぶし腰浮かせ」が話題になったのもこの頃でしたね。
「お心肥やし(おしんこやし)は江戸のEQ」
EQは人間関係を築くための力「共感力」、「自己認識力」、「粘り強さ」、「楽観性」、「熱意」、「衝動のコントロール力」と言われています。
(『EQ--心の知能指数』ダニエル・ゴールマン著より)
江戸しぐさの要素はここにありですね。
「江戸しぐさは相づちしぐさ」
初めて会った人に不快感を与えないためには、敬語だけでなく相手を思いやる相づちが重要です。
「ご存じかと思いますが・・・」
「それは、初めてお聞きします」
「そのようですね」
「聞いたことがあります」
など、さりげない相づちにも相手を思いやる心遣いが感じられます。
「うかつあやまり」の真意
たとえば人に足を踏まれたときに、踏んだ人が謝るのはもちろんですが、踏まれた人も「こちらこそうっかりしてまして」と口には出さなくてもそぶりを見せると何となく和みます。
「うかつ」とは注意が足りず、うっかりしている様。
「うかつあやまり」の真意は、トラブルを未然に察知し、素早く対応できなかった自分のうかつさを反省するというリスクマネジメントだったわけです。
(越川禮子著 暮らしうるおう「江戸しぐさ」より一部抜粋させていただきました)
講座では、興味深いお話も聞くことができました。
◆老人の資格
- どれだけ若い人を笑わせたか
- どれだけ若い人を立てたか
- どれだけ若い人を育てたか
- どれだけ若い人に知恵を伝承したか
◆江戸っ子の条件
- 目の前の人を仏の化身と考える
- 時泥棒をしない
- 肩書きを気にしない
- 遊び心がある
- 世辞が言える(プラスαの言葉がけができる)
今回の講座を担当された、越川禮子先生は、お年を伺ってビックリするくらい若々しくて、姿勢が良くて、まさに「江戸の粋」そのものでした。
私も、越川先生のように、素敵に年を重ね、粋な江戸っ子を目指していきたいです。